公開日:2024年1月13日
ショッピングモールでの無料EV充電スポット導入のメリットとは? 顧客の目線とSDGsへの寄与
ショッピングモールの経営者やデベロッパーは、常に新しい集客方法を模索しています。その中で、環境意識が高まる現代社会において、電気自動車(EV)の充電スポットを無料で提供することは、顧客満足度を高めるだけでなく、社会的責任(CSR)の観点からも注目されています。本記事では、ショッピングモールに無料EV充電スポットを導入することのメリットを、顧客目線とSDGsへの寄与という二つの視点から掘り下げていきます。
1| 無料EV充電の仕組みとそのメリット
ショッピングモールでの無料EV充電スポット導入は、顧客の滞在時間と消費を増加させる効果があります。充電スポットは、買い物や食事中の電気自動車の所有者にとって魅力的な要素です。充電のために定期的に訪れる顧客は、短期的な売上だけでなく、長期的なファンを作ることにもつながります。
また、充電設備の有無はショッピングモールを選ぶ際の重要な決め手となり、特に電気自動車の所有者にとっては大きな魅力です。これにより、リピーターの獲得が期待できるほか、充電中に滞在時間が長くなることで購買額の増加も見込めます。
このように無料EV充電スポットの導入は、ショッピングモールにとってエコフレンドリーなイメージの強化と顧客満足度の向上、商業施設としての競争力の向上に寄与します。
2| 集客効果アリ!?電気自動車オーナーをターゲットにする理由
電気自動車(EV)普及に伴い、ショッピングモールは新たな顧客層を引きつけるチャンスを迎えています。特にEVオーナーは環境への意識が高く、彼らをターゲットにすることは集客効果を高める大きな可能性を秘めています。ここでは、無料のEV充電サービスが消費者行動に与える影響と、充電時間とショッピング行動の相関関係を説明します。
2-1| 充電無料政策の背景と消費者行動への影響
ショッピングモールが電気自動車(EV)オーナーに対して充電を無料で提供する施策は、日本政府の2035年までに乗用車新車販売の電動車比率を100%にする目標に呼応しています。この政策によりEVが主流になることが予想され、ショッピングモールはこの変化に対応しています。顧客の利便性と集客向上を目的としたこの施策は、SDGsへの取り組みとしても注目されています。EVオーナーは充電設備がある場所を選びがちで、ショッピングモールには1〜3時間の充電時間を利用することが多く、これにより滞在時間と購買額が増加します。ショッピングモールはこの変化に対応し、消費者の買い物体験を充実させるためのアメニティやエンターテイメントを提供し、引き続き重要な目的地としての地位を保っています。
2-2| 充電時間とショッピング行動の相関関係
電気自動車(EV)オーナーの充電時間とショッピング行動の関係は、充電の必要性と利便性に密接に結びついています。通常、EVオーナーは少なくとも30分の充電時間が必要で、この間に多くの人が「特に何もしていない」状態ですが、一部の人々は「買い物」や「食事休憩」で時間を過ごしています。特に、ショッピングモールに充電設備がある場合、オーナーはその施設を選ぶ傾向があり、充電時間中のショッピングや食事により、滞在時間が増加し、それに伴い購買額も増加します。そのため、ショッピングモールにおけるEV充電スポットの存在は、消費者の行動に大きな影響を及ぼしており、ショッピングモールの滞在時間と購買額の増加につながっています。
3| 充電器の種類と設置コスト
ショッピングモールにEV充電スポットを設置する際、最も重要な要素の一つが充電器の種類とその設置コストです。ここでは、急速充電器と標準(普通)充電器の特徴と効果、それぞれの設置にかかるコストと運用効率の最適化について解説します。
3-1| 急速充電器と標準(普通)充電器の比較
ショッピングモールにおける電気自動車(EV)充電器の導入に際して、急速充電器と標準(普通)充電器の選択は重要な要素です。急速充電器は出力が高く、短時間で充電が完了する点が特徴ですが、設置場所の確保と高額な導入費用が必要です。一方、標準(普通)充電器は出力が低めで数時間の充電時間を必要としますが、設置にかかるコストが低く、場所もとりません。
標準(普通)充電器の出力は3kWから6kWで、充電時間は車種により異なります。
例えば、40kWhのバッテリーを搭載した日産リーフの場合、6kW出力の充電器を使用すると約10時間で充電できるとされています。3kW出力の場合は、これよりも長い時間がかかります。
このタイプの充電器は比較的低コストで導入でき、充電に必要な電力も少ないため、商業施設やショッピングモールに適しています。顧客はショッピング中に充電を行うことができるため、施設側にとっても顧客満足度の向上に繋がります。
急速充電器は出力が10kWから150kWで、充電時間は約30分となります。高速道路のSA/PAや道の駅など、長距離移動の際の継ぎ足し充電に適しています。急速充電器は設置スペースが広く必要であり、導入費用も高いため、ショッピングモールなど滞在時間が長い施設では標準(普通)充電器の方が適していることが多いです。
3-2| 設置コストと運用効率の最適化
ショッピングモールにEV充電スポットを設置することは、顧客の利便性を高めると同時に、新たな収益源となり得ます。特に、急速充電器に比べて安価で設置が容易な標準(普通)充電器が商業施設に適しています。日本政府の目標通り2035年までに電動車が新車販売の100%を占めるようになれば、EV充電スポットの需要は更に高まるでしょう。
充電器の設置にはいくつかのステップが必要です。設置場所の選定、充電器の種類の選択、運用方法(料金徴収方法など)の決定、そして工事の施工業者の選定です。初期工事費用がかからないプランもあるため、導入にかかる費用は多様です。
商業施設におけるEV充電スタンドの運用には、課金システムが必須です。このシステムは、充電時間や使用量に応じてドライバーが料金を支払うもので、キャッシュレスが基本です。導入後は運用人件費の削減や利用履歴データの取得が可能で、サービスの利便性が向上します。また、利用者はキャッシュレスで気兼ねなく利用でき、無人での運用が可能となります。
さらに、EV充電器の設置は既存顧客へのサービス向上だけでなく、集客にも直結します。看板や公式サイト、SNSでの告知により、EV充電器を目当てに来る顧客が増えるという事例もあります。
3-3| 標準(普通)充電の設置が適した(好まれる)場所の例
標準(普通)充電器の設置が適した場所として、自宅や職場が挙げられます。これらの場所では、日常的に長時間かけての「基礎充電」が行われるため、標準(普通)充電器が最適です。また、長時間の滞在が想定される施設、例えばホテルやレジャー施設でも標準(普通)充電器が適しています。これに対して、短時間の滞在で充電が必要な高速道路のSAや公共施設などでは、急速充電器が適しています。標準(普通)充電器は設置コストが低く、顧客が滞在中にゆっくりと充電できる利点があるため、これらの場所での導入が有効です。
4| SDGsへの寄与と公共イメージの向上
SDGs(持続可能な開発目標)への寄与は、現代ビジネスにおいて重要なテーマの一つです。特に、ショッピングモールなどの商業施設における環境への取り組みは、公共イメージの向上に直結し、顧客に対してポジティブなメッセージを発信する機会となります。ここでは、電気自動車(EV)充電スタンドの導入が、脱炭素社会への貢献と地域コミュニティへの影響にどのように結びつくのかを考えます。
4-1| 電気自動車充電スタンドの脱炭素社会への貢献
電気自動車(EV)は、地球温暖化の進行を防ぐために重要な役割を果たしています。大気中の温室効果ガスの増加が地球温暖化の主な原因とされており、特にガソリン車の利用によるCO2排出が問題視されています。これに対し、走行時にCO2を排出しないEVが、温室効果ガスの削減を目指す上で推進されています。日本政府は、2050年までに脱炭素社会を目指すことを宣言し、2035年までに乗用車新車販売の電動車(電気を主な駆動力として使用する自動車の総称)比率を100%にする目標を掲げています。この目標達成には、EVの普及が不可欠です。
ショッピングモールにEV充電スタンドを設置することは、この目標に対する貢献の一環となります。EVの所有者は、外出時に継ぎ足し充電を行うことが一般的で、ショッピングモールに充電設備があれば、買い物中に充電が可能です。これにより、ショッピングモールはEV所有者にとって魅力的な目的地となります。
このように、ショッピングモールにおけるEV充電スタンドの設置は、脱炭素社会への移行という大きな枠組みの中で、重要な役割を果たすとともに、商業施設としての魅力を高める効果も持っています。
4-2| 地域コミュニティへの影響と環境保護イニシアティブ
ショッピングモールにおける電気自動車(EV)充電スタンドの設置は、環境保護と地域コミュニティへの貢献という点で大きな意味を持っています。まず、EVの普及は地域の温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化対策に寄与します。EV充電スタンドが設置されたショッピングモールは、EVオーナーにとって魅力的な目的地になり、これにより地域住民へのサービス向上に繋がります。さらに、ディーゼルエンジン車やガソリンエンジン車などの所有者もEVへの移行を検討しやすくなります。
一方で、公共施設へのEV充電スタンドの設置は、地域住民の生活の利便性を高めるだけでなく、災害時の電力供給源としても機能する可能性があります。
以上の点から、ショッピングモールにおけるEV充電スタンドの設置は、顧客の利便性を高めるだけでなく、地域の環境保護と持続可能性向上に大きく貢献しています。これはSDGs(持続可能な開発目標)への寄与というビジネスの新しい価値観とも合致するものです。
5| 実際の成功事例と学べるポイント
実際の成功事例から学ぶことは、非常に有効です。ショッピングモールでの無料EV充電スポット導入においても、先駆者の事例を参考にすることで、その目的と効果を明確に捉え、計画を現実のものとすることができます。ここでは、ショッピングモールなどで実施されているEV充電スポットの事例を紹介します。
5-1| 他ショッピングモールや企業における充電設備の動向
ショッピングモールにおけるEV充電スポットの導入は、顧客の利便性を向上させ、集客力を高める効果があります。EVの所有者は、充電設備がある場所を好んで訪れ、充電中にショッピングモールでの時間を過ごすことが一般的です。現在、EV充電器の運用方法として完全無料の所があれば、条件付き無料の所や有料でもサービスで工夫して集客につなげている所もあります。ここでは他企業の事例を紹介します。
【事例1】イオン株式会社は、2008年より埼玉県越谷市の「イオン レイクタウンmori」に充電器を設置し、2020年まで無料で充電サービスを提供していました。これにより、滞在時間の増加と購買額の増加が期待でき、リピーターの獲得にもつながったのではないでしょうか。現在充電は有料になりましたが、充放電形式を取り入れ新しい価値の創造に取り組んでいます。
【事例2】株式会社ニトリホールディングスでは、2015年から店舗に充電器を設置しました。2023年6月に耐用年数を迎えたことを機に既設の充電器を更新しはじめ、充電サービスを開発している株式会社プラゴと提携し、アプリを介して空き状況の確認や予約ができるサービスの導入を決定しました。こちらは有料になりますが、ゲスト利用でも会員利用でもできる充電し放題プランなど利用しやすいサービスの展開もしています。
事例を探してみると、近年の電気代の高騰からか、無料EV充電をやめてしまった商業施設もあるようです。お客様にとって「充電無料」の文字はとても魅力的ですが、ショッピングモールにとっても、きちんと電気代を回収できるのかを検討する必要があります。充電器や電気の使用量に応じた料金体系、EV充電器設置駐車場の運用方法も考慮しなければなりません。
ある高級ホテルでは、駐車料金1泊3,000円としてバレーパーキング代を徴収しますが、EV充電料金は駐車料金に含んだ形にして電気代を回収する方法をとっています。
無料とまではいかなくても様々な工夫とサービスで、充電器があることを動機にして集客ができていることが分かります。充電料金を競合よりも安く提供したいと思うのであれば、太陽光発電を併用したEV充電提供をお勧めします。電気自動車(EV)は太陽光発電と相性が良く、更に環境負担の軽減、蓄電池の代替、災害時の非常用電源などのメリットがあります。
出典:https://jpn.nec.com/energy/charge/case/aeon/index.html
出典:https://ev.gogo.gs/news/detail/1687911460/
6| トータルソリューションのEV充電器設置サポート
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トータルソリューションでは、電気設備を中心とした建物設備の総合メンテナンスを行っております。電気自動車(EV)の導入、保守はトータルソリューションにご相談ください。また併せて照明の不点灯による器具交換、ブレーカー点検、アンペア変更、漏電調査、コンセントの焦げなどに伴う調査や施工など、電気設備の修理・メンテナンスはトータルソリューションにお任せください。契約金・固定費が0円で全国のトラブルを24時間365日受け付けています。この他にもLED照明の新規取付・交換工事、高圧受変電設備工事などの電気設備改修などの大型工事まで幅広く対応しております。オフィスや店舗環境を良くし、業務効率売り上げ向上のために電気設備の改善が必要な場合は、トータルソリューションにご相談ください。トータル的に長い目で快適な環境を維持できるように、問題解決を図ります。(※ご契約後にサービスが開始となります)
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