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蛍光灯が使えなくなる!設備担当者が知るべき具体策とタイムリミット

公開日:2024年9月12日

蛍光灯が使えなくなる!設備担当者が知るべき具体策とタイムリミット

蛍光灯・蛍光ランプが使えなくなるというお話をどこかで耳にしたことがあるかもしれません。それも、なにやら2027年末までという期限も発表されています。全国に店舗を構えるチェーン店を運営している場合、いまから全店舗LED化を実施するにも間に合わないかもしれないと、ひやひやされている建物設備のご担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、俗に「蛍光灯の2027年問題」と言われているこの内容を掘り下げて、どんな蛍光灯が使えなくなるのか、なぜ使えなくなるのか、2027年を過ぎてしまったらどうなるのかなどを解説していきます。

1| 蛍光灯・蛍光ランプは早めにLED照明への切替を!

照度を確保するために用いられる一般照明用の蛍光灯(蛍光ランプ)の製造と輸出入が2027年末までに禁止になることが決定されました。今後は既存の蛍光灯・蛍光ランプの交換において様々な影響が懸念されます。
またこの動きに伴い、蛍光灯・蛍光ランプに代わる代替策として、LED照明への切替が勧められています。

1-1| 蛍光灯・蛍光ランプの製造・輸出入が禁止になる理由

蛍光灯・蛍光ランプの製造・輸出入が禁止になる理由

これは「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議にて合意されたもので、水銀汚染の防止を国際的に規制するための条約です。蛍光灯・蛍光ランプには微量でも水銀が含まれていることから、規制対象となりました。
蛍光灯・蛍光ランプの製造や輸出入が禁止となる背景には、「環境への配慮」「健康被害への懸念」「エネルギー効率向上の促進」が挙げられます。

● 環境保護および健康被害への懸念

蛍光灯・蛍光ランプに含まれる水銀は、水銀蒸気になった時や食事から経口摂取された際に毒として作用します。例えば、蛍光灯・蛍光ランプが割れてしまった場合、蛍光管の中から気化した水銀が大気中に拡散されると海や土壌環境を汚染し、そこに住む生き物たちの体に蓄積されます。そして巡り巡って人の健康へも悪影響を与える可能性があります。

● エネルギー効率向上の促進

蛍光灯・蛍光ランプが点灯するためにはエネルギーを消費します。このエネルギーを生み出す際、化石燃料の燃焼による大気汚染や燃焼による温室効果ガスが排出され、地球温暖化に繋がっています。
そこで、よりエネルギー消費効率の良い照明器具であるLED照明への入れ替えが求められています。LED照明への転換によりエネルギー消費量の削減が叶い、LED事態に水銀が使われていないことから環境保護の両立が可能になります。これにより大気や水の質が向上し、気候変動の影響を軽減することも期待できるでしょう。

1-2| 早期切替がおすすめの理由1
蛍光灯の在庫不足は時間の問題。実際値上げもしている

「LEDへの切り替えには費用がかかりそう」「蛍光灯はまだ使えそうだし、2027年までに時間があるからな」…そんなことをお考えではないですか?LED照明に早めに切り替えて欲しいのには理由があります。
蛍光灯の国内主要メーカー3社では原材料価格、物流コスト、海外での人件費高騰などを理由に、蛍光灯器具は続々と生産を終了しており、現在は蛍光灯のみの製造をしていますが、2023年10月から既に最大90%の値上げを実施しています。
各社の値上げ率は以下の表をご参照ください。
メーカー 対象製品 値上げ時期 値上げ率
パナソニック 直管蛍光灯(一般照明) 2023年10月1日 最大約80%
東芝ライテック 直管蛍光灯(一般照明) 2023年10月1日 最大90%
ホタルクス 蛍光灯 2024年4月1日 最大80%

在庫の品薄状態が近づいてくるとさらに蛍光灯の値上げの可能性があり、そもそも在庫が足りず交換できない事態にもなりかねません。

1-3| 早期切替がおすすめの理由2
LED照明の材料価格が高騰中!先送りは高い買い物に

LED照明の材料価格が高騰中!先送りは高い買い物に

それではLEDはどうかというと、同じく物価高騰の波によりLED照明の材料価格が高騰し、既に2023年4月時点では各メーカーで2回目となる値上げが実施されているところもあります。
但し、LEDは消費電力が低く長寿であるため長い目で見るとしばらくはお得に入れ替えができる場合があります。このまま物価高騰が続くとやはりLED照明の値上げを避けることが困難になるかもしれません。
さらに、蛍光灯の在庫不足により同じようにLED化を迫られた状況の企業から、ここぞとばかりにLED化の依頼が殺到し、工期が先延ばしにされたり、施工費が高くついたり、そもそもLED照明メーカーの生産が追い付かない可能性もあります。
蛍光灯・蛍光ランプとLED照明の入れ替えの判断を引き延ばすよりも、まずは見積や照明プランの相談を専門の業者へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

1-4| 蛍光灯の在庫が尽きた時のチェーン店への影響と対応策

蛍光灯の在庫が尽きた時のチェーン店への影響と対応策

全国に店舗を展開しているチェーン店様にとって、蛍光灯や蛍光ランプの製造禁止、それに伴う在庫不足は大きな課題ではないでしょうか。
たとえば蛍光灯の寿命が尽きた場合、在庫の確保が困難になり照明の交換やメンテナンスが難しくなります。しかし店舗の一部を暗くしたまま営業するわけにもいかないことから、新たな照明器具を導入する必要があります。
対策として推奨されているLED照明は、直管形LEDなら既存器具で使用することが可能ですが、安定器を切り離すバイパス工事が必要となります。
しかし蛍光灯が切れたところからLEDへの入れ替えを少しずつ行うと、総合的に施工費が高くなる可能性があります。
また、LEDの省エネ性能や長寿という特長が最大限に発揮されません。
最近のLEDは、明るさを始め光の色を数種類から選ぶことができます。この際なので蛍光灯や蛍光ランプをLED照明に一括入れ替えする計画を立てて、店舗の雰囲気をさらにおしゃれに演出してみたり、お客様の購買意欲に繋がる工夫を凝らしてみたり、LED照明への転換を楽しんでみてはいかがでしょうか。

2| 製造・輸出入が禁止になる蛍光灯・蛍光ランプ

先述の通り製造・輸出入が禁止となるのは、水銀含有の一般照明用蛍光灯・蛍光ランプです。
ここからは、蛍光灯・蛍光ランプの種類や完全廃止になるまでの経過措置について、ご説明いたします。

2-1| 製造が禁止となる蛍光灯・蛍光ランプの種類

以下が、店舗でよく使われる照明において製造及び輸出入が禁止となる(既に禁止となった)ランプの種類です。
直管形蛍光ランプ及び日直管蛍光ランプには、ハロリン酸塩系蛍光灯と三波長形蛍光灯も含まれます。

直管蛍光ランプ廃止

直管蛍光ランプ

非直管蛍光ランプ廃止

非直管蛍光ランプ

電球形蛍光ランプ廃止

電球形蛍光ランプ

コンパクト形蛍光ランプ廃止

コンパクト形蛍光ランプ

※ハロリン酸塩系蛍光灯:従来からある一般型の蛍光灯
※三波長形蛍光灯: 発光エネルギーを人間の目の感度に合わせるように、光の3原色である青色、緑色、赤色それぞれを発光する蛍光物質を適切にブレンドしたランプ。従来の蛍光ランプに比べ明るく、色がくっきりときれいに見えるという特徴を持ちます。

2-2| 蛍光灯・蛍光ランプに関する経過措置と廃止時期

2027年末までの経過措置として、段階的な廃止が決定されています。

2026年禁止

直管蛍光ランプ
《ハロリン酸塩蛍光体》
直管蛍光ランプ
一般照明用
・40W以下、Hg 10㎎以下
・40W超、水銀含有全て
※【2020年禁止済】
40W以下、Hg 10mg超
非直管蛍光ランプ
《ハロリン酸塩蛍光体》
非直管蛍光ランプ
一般照明用
すべてのW
電球形蛍光ランプ
電球形蛍光ランプ
一般照明用
30W越え、水銀含有全て
※【2020年禁止済】
30W以下、Hg 5mg超
※【2025年禁止済】
30W以下、水銀含有 5mg以下
コンパクト形蛍光ランプ
コンパクト形蛍光ランプ
一般照明用
・30W以下、水銀含有5㎎以下
・30W超、水銀含有全て

※【2020年禁止済】

30W以下、Hg 5mg超

2027年禁止

直管蛍光ランプ
《三波長形蛍光体》
直管蛍光ランプ
一般照明用
・60W未満、Hg 5㎎以下
・60W以上、Hg 5㎎以下
・60W以上、Hg 5㎎超
※【2020年禁止】
一般照明用、60W未満、Hg 5mg超
非直管蛍光ランプ
《三波長形蛍光体》
非直管蛍光ランプ
一般照明用
すべてのW

2-3| 2027年以降は買えないのか

2027年末という期限は、蛍光灯・蛍光ランプの製造及び輸出入の禁止期限であるため、それまでに製造された製品(在庫)については、売買およびその使用が禁止されるものではありません。そのため、現在の蛍光灯・蛍光ランプの在庫状況や寿命については、各メーカーや取引先に確認しましょう。
ただし、蛍光灯器具の製造は既に廃止されています。既存の照明機器本体にも寿命がありますので、ランプよりも先に本体が寿命を迎え結局すべて取り換える将来が見えるのではないでしょうか。
LED化するのであれば、一斉に転換することが得策と言えます。

3| 一般照明用蛍光ランプの調べ方

一般照明用蛍光ランプの調べ方

店舗内で使用している照明が、蛍光管のランプかどうかわからない場合は、製品本体に付された品番を確認しましょう。
蛍光管のランプであれば、品番が「F」で始まっています。
近年では人間の目の感覚に合わせて色がブレンドされたプレミアムな「三波長形蛍光ランプ」が使用されているところが多いです。そのため、品番には併せて「3波長形」または「EX」と表示があります。こういった表示がないものは従来の「ハロリン酸塩系のランプ」です。これらは禁止になる時期が違いますので注意しましょう。
(※ハロリン酸塩系のランプ:2026年末、三波長形蛍光ランプ:2027年末)
また、海外製品では品番の表記が異なることがあります。お手持ちの製品が蛍光ランプかわからない場合、もしくは確認が難しい場合は、お近くの蛍光ランプ取扱店またはメーカーへの問い合わせるか、もしくは電気工事業者に調査してもらいましょう。
※照明が高所で品番を確認できない場合は、無理をしてご自身で確認をしないようにしましょう。

4| 使わなくなった蛍光灯の処分方法

使わなくなった蛍光灯の処分方法

多くは、燃えないゴミとして処分することができます。店舗やオフィス、工場から出た蛍光灯・蛍光ランプは、産業廃棄物として処理することになりますが、2017年の廃棄物処理法改正により水銀使用製品産業廃棄物として扱われることになりました。処分を依頼する際は、水銀使用製品産廃の許可を取得している専門業者でなおかつリサイクル処理を行っている業者に委託すると良いでしょう。
オフィス拠点の自治体のルールで捨てることができる場合は、地域のルールに従って処分してください。また、市役所や自治体の施設、一部のスーパーマーケット、電気屋さんなどに回収ボックスが設置されている場合があるので、利用していいかを確認してみましょう。

5| まとめ

まとめ:早めのLED化をご検討ください

現在も蛍光灯・蛍光ランプを使用されている店舗において、2027年が過ぎてもすぐに使えなくなるわけではないことが分かりました。しかし使い続けることで、さらに在庫面やコスト面において圧迫されていくことが予想されるため、早めにLED照明への切り替えを検討することが良計のようです。
今は、LEDの照明にもたくさんの種類が登場しています。店舗の雰囲気を壊さないどころかワンランク上の空間を演出することができます。物価高騰などの波によりLED化も製品や工事費の値上がりの継続が予測されますので、ぜひ早めのLED化をご検討ください。
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