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T!ps – 電気設備 –

電気設備の耐用年数はどのくらい?メンテナンスと交換時期の目安も解説

電気設備の耐用年数は設備によってさまざまですが、耐用年数まで大きなトラブルを起こすことなく使い続けられることが大切です。適切な点検やメンテナンス工事をしないまま耐用年数を超えて電気設備を使い続けるリスクや、メンテナンス業者の選び方をご紹介します。

電気設備の耐用年数の画像

1. 電気設備と耐用年数の基本記事項

電気設備とはどのようなものを指すのか、耐用年数を知る前に知っておくべき基本的な用語をご紹介します。また電気設備の耐用年数と点検の重要性もご紹介します。

1-1. 電気設備の種類

電気設備とは電気を「作る」「送る」「使う」ための設備です。大きく分けると以下の3つになります。

  • 発電設備
  • 送配電設備
  • 構内電気設備
「発電設備」には水力や火力、太陽光などによる発電設備が含まれます。
「送配電設備」とは発電設備によって作られた電気を運ぶ役割をするもので、簡単に言えば電線です。
「構内電気設備」とは電気を利用するための設備です。エレベーターのような大型の設備から照明やコンセントのような身近なものまであります。
また送配電設備を使って発電設備から構内電気設備まで結んだ総称を電気工作物と呼びます。電気工作物にも使用できる電圧や使用目的によって区分があり一例をご紹介します。
    【電気工作物の例】

  • 一般用電気工作物……600V以下で受電し一般家庭などに容易に設置できるもの(家庭用太陽光発電など)
  • 事業用電気工作物……電力会社や工場などの発電所、変電所、送電線(ダムなど)
  • 自家用電気工作物……電気事業以外で使う600Vを超えて受電する設備(キュービクル)

キュービクルとは発電所から送られた高圧電気を低圧電気に変換する自社設備を指します。ビルやマンションに設置された「変電設備」と書かれたロッカーのような形の設備です。多くの電力を使う施設では電力会社の変圧器を使うと電気代が高くなるため自社で変電しています。

1-2. 電気設備の一般的な耐用年数

電気設備の耐用年数は一般的に次のように言われています。

  • 蓄電池電源設備……5年程度
  • それ以外の電気設備……15年前後
蓄電池は充電と放電のサイクルを繰り返しており、1年で何サイクルするかで実際の耐用年数が変わります。一般的に5年程度で考えます。

蓄電池電源設備も、それ以外の電源設備も、耐用年数を超えたからといって使えなくなるのではありません。耐用年数を超えると故障などのトラブルが増えます。またトラブルが増えるタイミングは使用の状況によって前後します。

1-3. 電気設備は定期的な点検が必要

電気設備は定期的な点検やメンテナンス工事が重要です。以下のようなメリットもあります。

  • 設備の寿命が長くなる
  • 事故や故障等のトラブルを事前に避けられる
電気設備のトラブルは使用方法や年数、環境などの条件が大きく関わります。事故に発展する前に小さな異常や不具合を見つけることで事故を未然に防げます。事故による電気設備の故障も減るため設備の寿命も長くなり、耐用年数を超えても設備を使い続けられるでしょう。

しかし、定期的に点検やメンテナンス工事を行っていても、使用年数が伸びれば不具合が起きる可能性も高くなります。古い設備は新しいものよりも慎重に点検を行い、突然の故障が起きるリスクを減らしましょう。

2. 耐用年数の過ぎてしまった電気設備を使い続けるとどうなる?

電気設備の耐用年数を過ぎてもすぐに壊れて使えなくなるわけではありません。しかしデメリットやリスクがあります。耐用年数が過ぎた電気設備を使い続けたらどうなるのか、ご紹介します。

2-1. 電気を無駄に消費してしまうことによる電気代の上昇

電気を効率的に使用できなくなり、無駄な電気を消費して電気代が上昇する可能性があります。部品の経年劣化などで電気の交換効率が悪くなり、新品の同商品と比べて同じ動作をするためには多くの電気が必要です。

また部品の劣化により電気設備の性能の低下も考えられます。多くの電気を使って稼働させても、期待するほどの性能を発揮できません。

例えば、点検やメンテナンス工事の行き届いていない古いエアコンでは、どれだけ設定温度を下げても室温が下がらないことがあります。多くの電気を使っても期待するほど室温は下がりません。

2-2. 劣化による停電リスクの上昇

電気設備の劣化により電気が流れなくなり、急に停電するリスクがあります。停電によって売り上げの減少や納期遅れが考えられます。

またキュービクルのような高圧電気を使っている電気設備が停電を起こすと、近隣一体が停電してしまう波及事故という現象が起こる可能性があります。波及事故は近隣への影響が大きく、賠償請求に発展するケースもあります。

電気設備の点検によって劣化による停電のリスクは下げられますが、耐用年数を超すと予期しない突然の故障で停電する可能性があります。

2-3. 漏電などによる感電・火災リスクの上昇

漏電とは電気が本来流れるはずのルートを外れて電気が流れることを指します。漏電の原因には次のようなことが考えられます。

  • 絶縁の劣化
  • 動物などの外部要因
  • 浸水など水の影響

電気設備では絶縁という電気を通しにくい素材を使って電気が正しいルートを進むようにしています。しかし、絶縁の劣化によるひび割れや、動物がかじったために絶縁が機能せず漏電することが考えられます。

また防水性のない電気設備が大雨等で漏電してしまうこともあります。
漏電をすると、人や周囲の設備に電気が流れてしまう「感電」が起こるほか、火災につながる可能性もあります。

3. 電気設備の点検はどのくらいの頻度ですべき?

定期的な点検を行えば、電気設備が耐用年数を超えても使用できるだけでなく、停電や漏電による感電や火災のリスクを下げられます。

では適切な電気設備の点検頻度はどれくらいなのでしょうか。点検とはどういうものを指すのか、また点検やメンテナンス工事を行うための資格もご紹介します。

3-1. 電気設備の自主保安も点検のひとつ

電気設備の自主保安とは、電気設備の設置者が定められた技術基準に適合するよう維持管理をすることです。定期的な整備や点検が自主保安にあたります。

電気設備の自主保安については電気事業法という法律で定められています。適切に保安管理がされなかった場合、法律に基づき電気設備の設置者は責任を問われます。保安管理を怠ったために事故が発生した場合は、電気事業法第118条に基づき300万円以下の罰金が課せられます。

3-2. 電気設備の点検の適正な頻度

電気設備の点検には主に次の3つがあります。

  • 日常点検
  • 月次点検
  • 年次点検

漏電や停電のリスクを避けるため電気設備の法定点検が義務付けられており、月次点検と年次点検が法定点検にあたります。

日常点検とは運転中の設備を目視などで確認し適切に動いているか異常がないかを確認します。月次点検は原則として毎月1回、運転中の設備の点検や測定を行います。年次点検は原則として毎年1回、設備を停電させて機器の内部や温度の測定を行います。

月次点検と年次点検について、頻度は原則として月に1回、年に1回となっていますが、明確には決まっていません。これは、使用環境や機器の信頼性によって点検頻度が変わるものがあるためです。

状況に合わせ一定の間隔で電気設備の点検を行うことが大切です。

3-3. 電気設備の点検は特定の人しかできないこともある

電気設備の点検は電気事業法で定められているため、誰でも行えるわけではありません。事業用電気工作物の点検などの保安監督は電気主任技術者のみです。

電気主任技術者は国家資格で、事業用電気工作物の設置者が、工作物の工事、維持、運用の保安監督のために電気主任技術者を配置するよう、電気事業法で定められています。

そのため事業用電気工作物の設置者は電気主任事業者を雇用しておくか、定期的に派遣されるように手配が必要です。

電気主任技術者による点検で是正工事が必要と判断された場合は、電気工事会社にメンテナンス工事を依頼することになります。

4. 電気設備のメンテナンス工事費用や更新にかかる費用

電気設備は点検やメンテナンス工事が重要であることは分かりましたが、維持管理には費用がかかります。電気設備の点検、メンテナンス工事費用や設備を更新する際の費用の相場をご紹介します。

4-1. 電気設備の更新費用

電気設備を更新するには大きな費用がかかります。設備にもよりますが300万円〜800万円程度です。また電力設備の更新費用は主にKWに応じて変動します。キュービクルを例に相場をご紹介します。

  • 200KW……300万円から
  • 300KW……400万円から
  • 500KW……600万円から

200KWのキュービクルは80戸程度の中規模マンション等で使われるものです。大きな電気を扱える設備ほど高額になります。更新費用が高額なので定期的に点検を行い、必要に応じて部品交換や修理をして設備を長く使えるように調整することが大切です。

4-2. 点検費用の決まり方

点検費用の相場には大きな開きがあります。点検費用を決める要因には以下のようなものがあります。

  • 施設の広さ
  • 受電設備容量(KVA)
  • 点検の回数

点検する施設の広さによって費用が変わります。広い施設ほど高額です。また設備の受電容量が大きいと費用が高くなります。

受電設備容量とは変圧器や電動機など機器容量の合計です。受電設備の数ではなく容量によって変化し、容量が大きいほど高額です。

点検の回数によっても変化します。点検は原則月1回、年1回と決まっていますが、条件を満たしていると点検の間隔が延びます。点検の回数が減る分、点検費用が安くなります。

4-3. 定期点検以外にも監視やイレギュラー対応で費用も変わる

電気設備の定期的なメンテナンス以外に、次のような対応がある場合は費用が高くなります。

  • 遠隔監視
  • 緊急出動
  • 検査、調査、指導

電力の使用状況や漏電、温度などを遠隔監視し、異常を早期発見するシステムを導入できます。システムの導入によりメンテナンス費用が上がりますが、条件をクリアすることでメンテナンスの回数を減らせる場合もあります。

また点検や遠隔監視で異常が認められたときや自然災害による突発的な事故に対応するために緊急出動すると、メンテナンス費用が高額になります。台風上陸のように大きな災害が予想される場合は、事故が起きないように事前に対策をすることもあります。

検査の実施や設備の新設、書類作成や手続きの相談ができる場合もあります。相談費用はかかりますがアドバイスによってメンテナンス費用全体を下げられる可能性もあります。

5. 電気設備のメンテナンス時に業者を選ぶポイント

電気設備を耐用年数まで大きなトラブルを起こすことなく使うには、メンテナンスの業者選びが重要です。単純な価格の比較だけで選ばず、自社にあった業者を選びましょう。

電気設備のメンテナンス業者選びで押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

5-1. 他の建物設備も対応してもらえるかどうか

電気設備だけでなく、建物設備を一括で対応している業者もあります。建物設備とは以下のようなものです。

  • 空調
  • 給排水
  • 通信
  • 内装
  • 防災

建物設備も一括で対応可能な業者に依頼すれば、建物全体のメンテナンスを任せられ、次のようなメリットがあります。

  • メンテナンスについての打ち合わせを複数業者と行う必要がない
  • 不具合の原因がわからなくても依頼できる
  • メンテナンス費用を支払う業者は1社のみ

複数業者とメンテナンスについて打ち合わせする必要がなく、不具合の原因がわからなくても相談先が1社で良い点は大きなメリットです。またメンテナンス費用の支払い先も1社なので、建物全体にかかるメンテナンス費用を簡単に見える化できます。

5-2. 実績が豊富かどうか

電気設備のメンテナンスでは複数の設備を1つずつ点検しトラブルや劣化がないか見極める能力が必要で、専門的な知識と経験が求められます。実績は知見や技術がある業者かどうかを推し量る際の参考になります。

また実績の少ない業者では、技術力はあってもトラブル対応が難しい場合も考えられます。トラブルの原因や対処法はさまざまです。素早く適切に対応するには経験が重要なので、実績豊富な業者の方が安心できます。

5-3. アフターフォローがしっかりとしているかどうか

電気設備は定期的に点検やメンテナンス工事をしていても故障することがあり、事故によって売り上げの減少や損害賠償につながる可能性があります。補償サービスやアフターフォローがあれば、万が一に事故が起きた場合も被害額を抑えられるでしょう。

利用規約や保証規定などを確認して、どのような状況がアフターフォローの対象になるのかチェックしてください。

また無料相談や24時間365日対応など、緊急時に相談しやすいかどうかも確認してみましょう。

6. まとめ

電気設備の耐用年数は蓄電池電源設備が5年程度、そのほかの設備が15年前後です。電気設備は使用方法や慣用などの条件で不具合の起きやすさに差があります。事故が起きると売り上げの減少や損害賠償につながるので、定期的に点検やメンテナンス工事をして、電気設備の耐用年数まで大きなトラブルなく使い続けられるようにしましょう。

メンテナンス業者を選ぶ際は実績やアフターフォローに注目します。建物設備のメンテナンスを一括して対応している業者は依頼の手間が少なくなるのでおすすめです。

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